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「寒い…そして遅い…」
俺、柏木ユナは寒空の中ベンチに座って待ちぼうけをくらっていた。何故こんな場所にいるかというと今から数日前にさかのぼる…
「え、水瀬さん家って…秋子さんのとこ?」
「ええそうよ。ユナちゃんには冬休みの間、秋子ちゃんの家で暮らしてもらいたいの。あ、大丈夫、ユナちゃんの事情は説明してあるからね」
柏木家の居間。俺を含めた家族全員が揃うなか、唐突に俺の母こと柏木エリスがそう言い出した。ちなみに秋子さんは母さんの学生時代の友人で、今はとある豪雪地帯の街に娘さんと住んでいるらしい。俺自身も"柏木優"だった頃に一度だけ訪れたことがある
「いやそうじゃなくて…なんでお‥わたし1人で?」
「それは他の皆が予定があって…家にユナちゃん1人になるからよ」
「え?」
そういえば母さんと父さんは母さんの実家であるスウェーデンに行き、弟の祐二は部活の合宿…だっけか?
「その間、ユナちゃん1人じゃ何かと不便でしょう?お母さんとしては娘1人を家に置いておくより信頼のおける友人の所に居てくれたほうがいいの」
俺は1人でも大丈夫という言葉をグッと飲み込む。唐突に女の子になってから半年、だいぶ馴れてきたとはいえ…色々不便なことはあるからだ。…高い場所にある物を取るとか…
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