ココロ使い

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その後二人は別れた。 話し合いの末、僕の養育費は全額父さんが負担する事になったが、当時は理解できなかった。 離婚の概念を始めて知ったのだから仕方がない。 それよりも、母さんと心が通じ合った方が重要だった。 しかしいくら説明しても、母さんは解ってくれなかった。 もやなど見えず、ましてや色の変化なんて解らないと言われた。当然僕の声も聞こえていなかった。 ただ、急に怒りや悲しみが消え、父さんの話を聞く気になったらしい。 なんでも「親子だから心と心が繋がったのだ」らしくと一人で納得し、僕もその場はそうなのだと思っていた。 そしてそれが間違いだと気づいたのは、保育園に通い始めてからだ。 母さんが働かなければいけなくなったので、僕の一日は保育園がメインになった。 母さんと心を繋げてからと言うもの、周りの人のもやが、くっきりと見えるようになり始めていた。 そうなると試してみたくなるのが心情だ。 先ずは喧嘩でもしたのか、泣いている男の子にもやを繋げながら「泣き止んで、一緒に遊ぼう」と話しかけると、途端に泣き止み「何して遊ぶ?」と笑顔で返事を返した。 先生は不思議そうにしながらも、嬉しそうに「クウ君もうお友達できたんだ」と言っていた。子ども同士、通じる物が合ったと考えだのだろう。
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