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庭のプランターに植わったゼラニウムに水をやろうと思った。あいつは、僕の居ないのをいいことに、放っておくと好き放題伸びる。それを見に行くのも僕の役目だ。
僕の家には、裏庭がある。
裏といっても、家の東側で、隣の家の駐車場も兼ねた、それなりに広いスペースだ。西側が僕の所有地で、東側には隣家のトラックが停まっている。
北の奥には土管が積まれていて、見ると、知った顔がその土管の上に座っていた。
エルヴェ・ミラーだ。
エルヴェは、僕のつけた名前じゃない。だから、僕は彼を名前で呼ぶ。
彼は、この駐車場の半分を所有する、東側の隣人だ。僕は誰にも会わないけれど、彼とは、よく会う。たまたま居合わせる、という方が正しい。
僕が目配せすると、彼は片手を挙げた。
真っ黒な髪に合わせたように、真っ黒な服を着ていた。
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