合縁奇縁

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レンタカーで走る事1時間ちょっと。 真っ暗な旧八木邸前に着いた。 ありがたい事に一般公開されている今、隣に駐車場があった。 知り合いに連絡して車の返却を頼み、私と土方さんは真っ暗な八木邸へと歩き出した。 土方さんの後ろを大荷物で着いて行く。 前を歩いていた土方さんがピタリと足を止めたのは一本の桜の木の前。 今は6月。 葉桜になっているその桜を土方さんが愛おしそうに触れると、目を開けていられない程の強風。 「うわっ!」 思わず目をつぶり、風がやんで目を開けると目の前の桜は満開の桜へと変わっていた。 一瞬の出来事に言葉も出なかった。 狂い咲きのその桜を見上げながら、土方さんは瞳の奥に悲しい色を浮かべながら 「芽衣実、頼む。 新撰組を、俺の大切な者を守ってくれ」 「やれる事はなんでもやってみる。頑張るから!だから──」 言葉は最後まで土方さんには届かなかった。 土方さんに背を押される形で私は桜の幹へと吸い込まれていった。
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