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紹介状を読み始めた土方さんの表情は歪んでいく。
一枚目を読み眉間にはこれでもかと言う程の皺を刻み。
二枚目を読みながら青くなっていく。
一枚目には私が未来から自分が連れてきた事。
新撰組の道しるべになる事。
二枚目には自分が未来の土方本人である証拠。
青くなったところで私は土方さんに近づき囁いた。
「水の北 山の南や 春の月
差し向かう 心は清き水鏡」
その瞬間土方さんは目を見開き私の口を手で覆った。
「おまぇっ!!!!」
にっこり笑顔で見上げると、土方さんは大きなため息をつきながら手を放してくれた。
「とりあえず部屋を用意する。
それから詳しい話を聞かせてくれ」
そう言うと私の荷物を取り上げ物珍しそうに見ながら空き部屋へと案内してくれた。
部屋に荷物を置きながら大事な事を思い出して土方さんを見上げた。
「今何年ですか?」
私の問いに少し呆れた顔をしながら答えてくれる。
「元治元年 3月だ。
他に聞きたい事は?」
「じゃーお言葉に甘えて。
話する時に同席して頂きたい方を指名させてもらっていいですか?」
土方さんは鋭い視線を向けながら少し間を開けて小さく頷いてくれた。
「では、土方さん・近藤さん・山南さん・沖田さん・永倉さん・斎藤さん・井上さん・藤堂さん・原田さん・山崎さん・島田さんの11名でお願いします」
そのメンバーに土方さんは不敵な笑みを浮かべた。
「不服はねぇ。揃うまでここで待っててくれ」
そう言って部屋を出て行った。
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