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「ふ~。
やっぱり安心するわ。」
案内してもらった部屋は土方さんと一君の間の部屋。
なんとも一番安全な場所だわ・・・。
そう思いながら部屋の真ん中で大の字になって寝っ転がった。
「無事何事もなくて良かった。」
襖を閉めて、私の横に座った一君は安心した顔で私を覗き込んでいた。
「本間に。
何回か『うぉ!!』って瞬間はあったけど助かった。」
「何だと!?」
のんきに笑いながら言った私の言葉に一君は焦りを見せた。
「あ~、そんな心配せんくて大丈夫。
ただ寝てるのお越しにこられたり、お風呂の脱衣所で鉢合わせした程度やから。」
身体を起こして、手をひらひらと振りながらなんてことないと、更に焦った一君。
「風呂でだと!?」
「うん。でももう着物着た後やったし。
でもまさかあんな深夜に風呂はいる人がいるなんて思いもせんくて一瞬焦ったけどな。」
「もう少し早ければどうなってたか・・・。」
言葉を聞き終わる前に私は一君の腕の中にいた。
「大丈夫やったから。」
安心させる様に一君の背中に腕をまわした。
本当はあの瞬間本気で焦った。
あと1分遅かったら何をされていたかわからなかった。
本当は部屋に戻ってから考えてしまって震えが止まらなかった。
一君以外に身体を触られる事すら想像したくなかった。
その事を一瞬思い出し、思わず回していた腕に力がこもった。
「本当に無事で良かった。」
何かを感じた一君は優しく背中を撫でてくれた。
「今日は一緒にいて?」
私は一君の首筋に顔を埋めて頬を擦り寄せた。
「そのつもりだ。」
私の髪を指で梳きながら当たり前だと言わんばかりに答えた一君。
安心感で胸がいっぱいになった。
着替えて布団に入ると、一君の温もりにピンと張った糸が切れた様に緊張感から解放され、すぐに眠ってしまった。
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