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目の前には目を見開いた一君。
耳に聞こえるのは皆の私を呼ぶ声。
「は・・・じめ・・・く、ん・・・ゴホッ!!」
息ができない。
口の中は独特の鉄の味とドロリとしたものが喉の奥からあがってくる。
皆の声がどんどん遠くなっていく。
私はこの感覚を知っている。
そうだ、左之をかばって斬られた時・・・。
あの時と同じ熱さを左肩に感じた。
ただ違うのは違和感を感じる腹部。
目線を下げ確認するとそこには剣先が見えていた。
身体の力が抜けて行く。
そう思った瞬間思わず一君の着流しの合わせを咄嗟に掴んだ。
「め、いみ・・・芽衣実!!!」
一君が私を呼んだ気がした。
でも指一本私は動かす事が出来ずにただ遠くに皆の声を聞きながらそのまま気を失った。
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