利害得失

12/18

1017人が本棚に入れています
本棚に追加
/246ページ
一瞬だった。 一君の後ろに武田の姿を見つけた瞬間、芽衣実は何の為いもなく自分の身体を2人の間に滑り込ませた。 そして身体を反転させ、一君を突き飛ばしたと同時に刀の根本まで武田に貫かれていた。 俺はそのまま武田に向かってその背中を力任せに斬り付けた。 芽衣実が刀を抜かさない様に刃を握り閉めてくれたおかげで間にあった。 もし俺が後1・2秒遅かったらあの刀は抜かれて、更に2人は襲われたかもしれない。 必死に意識を失わない様に一君の着物を掴んだ芽衣実はそのまま崩れ落ちる様に廊下に倒れ込んだ。 総司は残りの奴を一瞬で斬り倒すと、芽衣実の元に駆けつけた。 総司は今だに刀をみぎり閉める芽衣実を抱き上げ、そのまま屯所に向かった走りだした。 俺は先さきに松本先生の元に走り出した。 ******* 「松本先生!!!!!」 門をくぐるなり、俺は力一杯叫ぶと何事かと松本先生とその弟子の人が数名顔を出した。 「芽衣実が!!芽衣実が!!」 「藤堂君!落ち着いて状況を教えてくれ!!」 俺の肩を両手で掴む松本先生に俺はしがみ付く様に状況を説明した。 「芽衣実が、腹突き刺されて意識がないんだ!」 「傷の深さは!?貫かれたのか!?」 「ああ、根本まで・・・。」 さっきの光景が頭に浮かび不安で声が震える。 「その刀は抜いたのか!?」 「芽衣実が握り締めて離さないんだ!!」 「わかったすぐに行こう!!」 松本先生は隣接した馬小屋から3頭の馬を連れて出てきた弟子に『新撰組の屯所にいく』とだけ告げた。 俺と松本先生、そして2人の弟子を連れ、屯所に向かって馬を走らせた。
/246ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1017人が本棚に入れています
本棚に追加