プロローグ

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駐車場に車を停めて、部屋を目指す。 そう、目指すって言葉がとっても適切かもしれない。 今、目の前にベットがあれば3秒で寝れる。 4階建ての平凡なアパートの3階にある自宅。 有り難いのはエレベーターがある事位なものだ。 そんな事を考えながら玄関の鍵をあけ、ドアを開けた。 もちろん先程も言った通り一人暮らし。 真っ暗な部屋の電気を点けても誰もいないはずなのに……。 思わず私は固まってしまった。 と、同時にさっきまで睡魔でぼおっとしていた頭はフル回転! 違う部屋に入った!? いや、それなら鍵が開くはずない。 じゃーここは私の部屋? なら誰か来客の予定があった!? いや、勝手に入れない。 なら目の前にいるのは誰!!?? 「……あんた誰!?」 そこまで考えて、やっと言葉がのどの奥から漏れるように呟いた。 目の前にいるのは何ともべっぴんなお兄さん。 でも袴姿に浅葱の羽織。 「ってか新撰組のコスプレ!?」 この状況のなか、少し目をキラキラさせてしまう。 そう、私は歴女。 って言うほど詳しくないけど、新撰組限定だから。 なぜか昔から新撰組が好きで、最近某ゲームやアニメの影響でさらに好きになった。 父は竜馬が好きなので、よく実家に住んでいた時は激論をした。 べっぴんなお兄さんはこちらをじっと見たまま何も言わない。 「あの……」 もう一度私が声をかけると、一度ゆっくり瞬きをして意を決した様子で話始めた。 「新撰組を知っているのか?」 「知ってますとも」 「俺達が死ぬのもか?」 「そうですね。ちなみに一番長生きさんは斎藤さん、あれ?永倉さん?まぁ大した差はなかったはずですが……それがなにか?」 「そうか、あいつら生き延びたんだな……」 急に嬉しそうに目元を揺れめた。 「あの……で、どちら様で?」 一様今の世の中、決して治安がいいわけではない。 ましてや、この状況。 とりあえず、相手の出方を見ない事には行動しようがない。 私は相手の質問に素直に答えて、再度質問した。
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