未来の君へ

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私は辺りをキョロキョロと見回した。 クラス中が私の方を見ていた。 うわー……やってしまった。 また寝てしまったよ。 私が口を開いたままア然としていると先生はため息をつきながら言った。 「お前なぁ、今日で何回目だ?いい加減分かれよ」 さて、ここは何て言い返すべきだろうか。 すると後ろから誰かが私のところに聞こえるぐらいの声で呟いた。 「でも寝る子はよく育つって言うよね。ねえ、沙樹」 この声は…… 私は声の聞こえた方に目を向けた。 声の主は思った通り私の親友の葵だった。 私は葵のその言葉に乗って言った。 「そうそう、寝る子はよく育つって言うし、今回のところは……」 私が顔色をうかがいながらそう言うと先生は表情一つ変えず言った。 「お前はそれが本当に通ると思ってるのか」 ですよね。 そりゃそうなりますよ。 私は渋々、謝った。 私の名前は、木々奈沙樹。 みんなからは普通に沙樹や木々奈さんって言われている。 私は運動が得意で何の競技をやっても一度で上手くできてしまうので、それぞれのスポーツを専門としている子にも勝ってしまい、学校では相手になる人がいない。 なのでスポーツは好きだけど、熱中してやっても張り合う相手がいないので部活には入ってない。
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