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「ヨウコ、起きたら?」 部屋に入ってきた母が勢いよくカーテンを開ける。 まぶしさに一瞬めまいがした。 あれから・・・・ 家賃も払えず、一人で生活できなくなって実家に戻ってきた。 あいかわらず、生きていることがわからない。 仕事を辞めた理由を聞かれてもうまく答えられないから、くびになったと伝えてある。 気づくと私の足元で何かが動いている。 「ウォン」 豆太郎もまだ寝ていたかったようだ。 実家に帰ってきてから、私は豆太郎とずっと一緒にいる。 というより、豆太郎が寄り添ってくれている。 15歳の老犬は家族のだれよりも私の気持ちをわかってくれているようだ。 ふいに泣きたくなってしまうと、涙が流れる前から目元を舐めてくれる。 「もう散歩でも行ってきなさい。人間太陽浴びれば元気になるんだから。豆ちゃんだってお散歩生きたいよね。」と母は言う。 豆太郎はどうしたらいいものか私と母の顔を交互に見ながら首をかしげている。 あまり活発でなかった私に母はいつも「太陽の光を浴びたら元気になるから」と言ってきかせてきた。 いくら浴びても元気になったためしがない。気力は湧いてくるどころか、熱中症ですぐ倒れるような子どもであった。 豆太郎が伸びをして、ベッドから降りた。 「ウォン」 散歩に行こうと言っている。
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