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スエットの上にダウンを来て、帽子を目深に被り、散歩に出かけた。 15歳の豆太郎は散歩になるとがぜん元気になり、力強い足取りになる。 朝・昼・夕の3回、決まった時間になると起きだし、私に散歩と食事を要求してくる。 おかげで規則正しい生活がおくれている。 今日も街路樹や植え込みの近くをクンクンと熱心に嗅ぎながら歩く豆太郎。 途中でお散歩仲間のおばさんやおじいさんにも出くわす。 豆太郎は顔が広く、私のことを知らなくてもいろんな人から「豆ちゃん豆ちゃん」と呼ばれている。 人と話すことも避けていた私にとって、はじめのうちは散歩は地獄だった。いい年した娘が仕事もしないでなにしているんだろうかと聞かれやしないか心配だった。 しかし、実際は豆太郎の話やそれぞれの犬の話がほとんどだった。犬を見て話すから、目も合わせなくていい。 閉じこもっていたころより、半ば強制的に毎日他人との会話をするようになっていった。
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