プロローグ

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桜が蕾をその身に宿す頃 春の強風で舞い踊るのは 花びらのように可憐なものではなく迷惑な花粉。 そんな頃 あー、眠い。 そんな思いに誘発されるかのように、あくびがひとつ出た。 「馬渡 佳樹」 俺の前の人が呼名される声で、ふと現実に引き戻される。 あー、そーいや今卒業式だった。 この高校は卒業証書を一人一人渡すという愚行を行っている。 …在校生はたまんねーだろうな うん、絶対苦痛だ。 思えば高校時代、楽しかったな。 大学もそうならいいんだけど。 大学が楽しみな気持ちが強くてあんまり悲しい気持ちがないんだよな…俺って酷い? そんなどうでもいい考えに耽っていると 「水城 流人」 自分の名が呼ばれ、俺はハイと答え、壇上への一歩を踏み出した。 .
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