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「え~と…転んじゃって」
三谷は腕を組み、何度か頷いた。
それは彼なりの承諾の仕方だった。他言無用の無口な男だ。不思議で沈着な人物だ。
北野と同じ、彼らは随分と似通っていた。
北野が彼の承諾の合図を見て横を通り過ぎると、三谷は不気味に笑った。
ぞわっと、背中に冷水を垂らしたように、北野は硬直した。こいつは知っている。自分が梨乃を殺したことを、こいつは知っている。
冷や汗をかきながら、三谷から遠ざかって行く。そして北野の背後で、彼は呟いた。
「やっと仲間が見つかった」
それを聞いた北野は、紛れもない安堵に包まれた。
完
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