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父さんと母さんはとても仲がいい夫婦だった。
父さんも美形でその2人から生まれた俺は何故か平凡。
でも、愛されていた。
俺も愛した。
母さんの言葉を幼いながらも心に決め、父さんの幸せを願った。
泣かないように笑ってもらうために。
そんなある日。
俺が小2の時だった。
好きな人が出来て結婚したいと言ったのだ。
『凄く素敵な人なんだ。向こうにもお子さんがいてね良い子たちなんだよ?』
きらきらと生き生きとした父さんの顔を見て、断りたくても断れない。
本当は母さんだけが母さんでいて欲しいけど父さんの笑顔が綺麗で幸せそうだから俺は頷いた。
『お父さんの好きなようにしていいよ』
でも、これが俺だけの悲劇の始まり。
すぐに我が物顔でいたあの人はまず母さんの遺品写真を全て捨てた。
俺が泣いて嫌だと言っても父さんは「ごめんね。我慢してくれ。京子からしたら辛いから」と、前の奥さんの写真なんて置いたら駄目なのだと無理やり説得された。
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