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「俺……限界で……にげ、にげたかった。……真人さんに助けて、…迎えに来てもらって嬉しかったんだ……」
嬉しかった。
俺の名前を優しく呼んでくれて。
「でも…母さんの約束……守ることできなかった。…父さんを任されたのに、俺……俺、父さんに嫌われたから……辛くて、恐くて、悲しくて……」
「ヒロ……」
でも、
「でも。やっぱり……寂しいんだ……夢……さっき真人さんの手…母さんに似てて懐かしくて、……。夢…覚えてないけど、でも」
思い出す事は懐かしい記憶。
幸せだった頃の短い思い出の記憶。
夢の内容自体は覚えていない。
でも、
父さんが笑って俺の名前を呼んでいた気がする。
「逃げたかった。
でも、やっぱり、大好きだったから……変えられない親だったから…もう、一人しかいなくて、」
――本当は
「ずっと一緒に暮らしたかった…っ……」
ずっと、父さんと一緒に暮らして昔みたいに笑いあって居たかったんだ。
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