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-side.真人-
熱を冷ますシートを取り替えに広樹の寝ている寝室に入ったら広樹が起きてしまった。
高熱で目を覚ます気配のない広樹を知り合いの病院に連れて行き注射で打ってもらったけど。
弱音を吐いた広樹。
泣きながら広海さんと一緒に居たかったと言う。
その寂しさは俺は分かってしまうから、大人しく聞いた。
寂しいって事を知っているから。
俺だって、勉強学力が第一の家に生まれ、救いは姉貴の存在だった。
そんな家族の長女のくせに、親に汚染されることもなく真逆の人間で。
俺を大切に思ってくれていた姉貴が急に居なくなって荒れた感じだし。
「お前は頑張ったよ。弱音だって吐いたっていいんだ」
頑張った。
頑張ったんだ。
傷だらけになりながら父親の傍に居てやった。
その子供の気持ちを分からなかっただけだ。
「姉貴だって、許してくれる。絶対にな」
また眠ってしまった広樹の髪を撫でながら俺は小さく呟いた。
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