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新しい家族を招いたその日、広樹は微笑んでいた。
それが嬉しくて仕方なかった。
でも、いつからそれが崩れたんだ?
京子は菜月の写真を遺品を全て捨てた。
俺はそれを我慢しろと悲しそうな表情をする広樹に言い聞かせる。
きっと、この悲しみ以上の幸せが来るから、我慢してくれな。
と、心の中で呟いて。
広樹を幸せにする。
それは菜月にしてやれる最後の事で、菜月の形見で、大切な息子だから。
でも、日に日に傷を増やしたり元気がなくなる広樹。
俺に何も言ってこない広樹。
京子に聞いても何も言わない。
京子の連れ子、砂威や可威に聞いても。いや、可威は砂威に邪魔されて応えない。
この親子は、なんだか異常だった。
可威をこよなく愛している。
いや、親と兄だから子と弟が大事なのは分かる。
俺だって、広樹の事。
"異常"
見ていて思ったこと。
京子は広樹に優しくしている様にも見えない。
けど、俺はどんどん変わってくる。
何かを隠すように、何かを信じないように、認めないように。
俺は変わった。
俺は……
広樹に冷たく当たるようになったのだ。
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