涙とその後

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着いたのは有名なショッピングモール。 そして、初めに来た所は家具売り場。 ベッドを見るらしい。 「一番安いのでいいんだけど…」 「駄目」 「何で、カズさんが言うの?」 けど、真人さんが居なくカズさんと俺だけ。 パイプでいいと思うのに、寝にくい煩い駄目、との連呼。 カズさんの選ぶベッドは収納が色々できる引き出し付きベッドだ。 高いでしょ? どう考えても。 「布団だけで」 「駄目」 なんで、駄目なんだし。 真人さんの命令なのか?それとも、過保護さが出ているのか? あの俺は(覚えていないけど)久々の数年ぶりの再会から、何日か。 この日まで、朝も夜も家に来て俺を構い倒したのがこのカズさんだ。 俺の名前を連呼して抱きついてきたり、ゲームを一緒にしてくれたり。 この人、こんななのに学校の教師ってところが凄い。 「まだ、決めてないのか?」 「真人さん」 「マサ、ヒロが我儘言う」 「言ってない」 で、多分、いや、確実に真人さんを好き。 真人さんはガン無視だけど。 「ふーん。すみません。これのシングル下さい」 勝手に決めた!? 「ま、真人さん」 「買うって決めたものは買う。OK?」 ニッコリと拒否権の無い笑顔に俺は顔が引きつる。 カズさんは爆笑だ。 会計をカズさんに任せ、俺は真人さんと端で待つ。 その時。 「ホラ、これ持ってろ」 と、掌に何かを乗せられた。    
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