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「だから、少しは安心だろ?いつも一緒に居てやれないけど、何かあったら俺の所に来ればいい。なんせ、数学資料室と言う俺の部屋があるからな!」
「それ、カズさんの部屋ってわけじゃないんじゃ……」
「まぁまぁ。…だから、ヒロ。来ないか?俺もちゃんとフォローする。それに、いいガキばっかだ。馬鹿だけど馬鹿じゃない」
意味分からない事を言っているけれど、俺もそう思った。
馬鹿だけど馬鹿じゃない。
それが表わしているのは、頭、知識とか無くて馬鹿だけど、人間としてとか、友人を裏切らないとかそう言うのはちゃんとしていて馬鹿じゃないという事だ。
「意味分からない」
そうだろうな。
でも、触れ合ってみれば分かる。
広樹には一つの道、同じ様な人間しか出会った事がなかっただけ。
ただ、それだけ。
「でも……やっぱり俺」
「学校へおいで。ヒロ」
「カズさん……」
「ヒロ…」
俺はまだ、信じ切れず不安を現わしている目をする広樹の手をもう一回強く握る。
俺らが居ると分からすために。
「マサ…ト…お兄ちゃん?」
「くすっ。もしだぞ。虐められたら俺が、というか、俺らの元チーム全員でお前を救ってやる」
そして、俺は腕を引き広樹を抱きしめた。
「ヒロは忘れているかもしれないけど、俺らは全員ヒロを友達だと思ってるから。お前はひとりじゃないから」
ひとりになんてもうしない。
絶対に。
お前には仲間がいる。大丈夫だから。
「恐がらないで高校へいきな。多分、それを姉貴も望んでいるから」
そう優しく囁くと広樹は俺の服をぎゅっと握って「うん…」と弱弱しくも嬉しさを含んだ声でそう言った。
「俺はもうひとりじゃないんだよね…」
「「あぁ」」
広樹はひとりじゃない。
「わかった……俺……学校に行く」
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