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No Side
真っ暗な暗闇。
照らす光は夜空に浮かぶ月だけ。
ビルの間の路地。
――ゴッ!ガッ
「ぐはっ!!」
「俺達が悪かった。見逃して―――グハッ」
そこに居るのは血を流しながら倒れる者と、その血を拳から垂らしている者。
「ばっかだねぇ。君らイラついてるコイツに喧嘩売ってきて"許してくれ"はないでしょ?、っと」
「ぐはっ」
逃げようとし、向かってきた弱っているそれを蹴り飛ばし気絶させる。
終始笑みを絶やさないピンク色の髪をしている男は中心に居る銀色の髪をもった男に近づいた。
「でも、やりすぎじゃない?別にいいけどさぁ」
「うぜぇんだよ。どいつもこいつも。あーくそっ、面倒くせぇ」
銀髪の髪をあまり汚れていない手で掻き上げ舌打ちをする。
それにくすくす笑うピンク色の髪の男。
「女の恨み?てか、馬鹿な女だよね。捨てられたってセフレなだけ……いや、一夜限りの相手だったのに。災難だね」
「それだけじゃねぇよ。なんか知らねぇが喧嘩売ってくる奴が増えた」
「知名度を上げたいんでしょ?フェニックスの総長を倒せば目立つ。よく言われてるじゃん。……今の総長は歴代で最弱だって」
「…関係ねぇ。俺は好きでなったんじゃねぇ」
「今のチームの奴ら全員一致でお前って選んだからねぇ。恨まないでよ」
肩に腕を置いてくすくす笑う。
それをひと睨みし、関係無いという様に歩き出す銀髪の男。
その後ろ姿を見てピンク色の髪の男はくすりと笑って、男に聞こえるように言う様にでも、誰に言う訳でもなく呟く。
「お前は強い。だから、俺もあいつらも付いて行くし楽しめる。……あとは、足りないのは大切な物がないってことだけ」
――俺にだって大切で欲しい人居るのにさぁ
「現れるかなぁ……近いうちに……。お前を掴む人間が……
なぁ、
――――――暁」
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