その頃夜鷹は…

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「…僕は霧雨夜鷹。君は?」 「僕は沖田総司です はじめまして、霧雨さん」 夜鷹が自らの名を言い、同じく問えば目の前の少年も自らの名を名乗った。 だが、その名を言った瞬間その沖田と名乗った少年の眼に影が落ちたのを夜鷹は見逃さなかった。 「……沖田総司、と言ったら彼の新撰組一番隊隊長…かな」 問いかけるように言った言葉だったが、その言葉は何処か確信めいていて、沖田は少し眼を見開きながらも直ぐにすっと細めれば警戒の色を見せた。 「…何者ですか? 僕の名前を聞いて、直ぐに新撰組と繋がるのは……おかしい もしかして、貴方は長州──」 「長州は敵、と結びつけるのもどうかと思うけどね 安心してよ、生憎と僕は長州じゃないから それと、何で知ってるかは……職が職だからね」 眼を光らせ、夜鷹を警戒するようにしながら言う沖田の言葉を、夜鷹は少しだけ口角を上げながら遮った。 淡々と沖田の疑問に答える夜鷹だが、会いたかった一人に会えた喜びからかその姿は何処か楽し気に見える。 「職……?」 「情報屋、だよ」
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