花と水

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そんなことがあったため、 刀の手入れを疎かにすると、 なんとなく彼の顔が頭に浮かぶのだ、 一くんに怒られる前に手入れしなくては なんて思っていたら… 「総司」 「一くん!」 ついさっきまで 自分の思考の中にいた人が 目の前に居るものだから つい凝視してしまった。 「...俺の顔に何かついているのか?」 「─!ううん、何でもないよ」 「なら良いが...して総司、そんなところに突っ立って何をしているのだ?」 ここは廊下の真ん中、 通行の邪魔だと言いたいのだろう。 「君のこと考えてた」 言っていることは間違ってない。 言い回しをわざとこのようにしたのは もちろん冗談である。
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