花と水

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あまりの衝撃に口を開けないで要ると、 その人が言葉を発した。 「こんにちは、沖田組長、久しぶりですね」 「なぁ、お前...なんでここに居るんだ?」 「髪、伸びましたね」 「ねぇ!」 噛み合わない話にイラついて、思わず声を荒げた。 この人はどうしてここにいるんだろう。 ここにいるのはおかしいのに、 僕はあのとき、君をおいてきた。 この人との出会いはまだ僕たちが江戸にいた頃、 名は山崎 夜桜───ヤマザキヨウ、 僕がつけた名前。 僕達は夜桜の下で出逢ったから。 あの時の奇跡を、形に残したかった、 それで夜桜。 あの日は妙に月が明るい夜だった。 僕はまだ16歳で、たまたまふらっと外を出たときだった。 月が綺麗だったから僕は空を 眺めながら散歩していた その時、ふと見やった所に 夜桜は居た。
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