花と水

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僕は数秒間固まってしまった。 着物も、容姿も人形のように綺麗で ...儚くて。 なのに全身傷だらけで、痛々しくて、 気づいた時には僕は彼女の手を握って走り出していた。 その時の僕は近藤さんの小さな道場に住んでいて、 近藤さんに失礼だけど正直あまり裕福とは言えなかった。 だから、その子を更に養って、なんて 無理な話だと思う。 ただ、その時はそんな事考えてる暇なんてなかった、 そして僕は、 自分が何故そんな事をしているのか解らなかった。 今ならわかる。 僕はあの時、どうしようもなく恋に落ちていたんだ。
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