花と水

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そこから、彼女は僕らの仲間となって天然理心流に入門した。 あとから聞いたのだが、 彼女は遊女達の蔓延る遊郭から逃げ出して来たそうだ。 禿として働いていた彼女は周りの女たちに苛められていたらしい。 僕は一度だけ彼女に何をされたのか聞いたことがある。 そのとき彼女は、震えて、泣いた。 そのあと僕はで近藤さんたちに怒られた、 だから僕はそれ以来聞いてない、 から、わからないけど、辛かったんだと思う。 それなのに聞くなんて馬鹿なことをしたなぁと思う。 あのときは何で怒られたのかわかんなかったし、何で泣いたのかもわかんなかった。 もちろん今ならわかる。 僕と出会った日は髪を斬られていた 女の子にとって髪の毛は大切なものだって聞いたことがある。 とにかく彼女の心には大きな傷がついていた そして会津藩のもとで剣を振るうため京へ上洛するとき、彼女とは別れた。 江戸に置いてきたはず...だった..が...
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