三冊のノートと三回の復讐

梨花、乱舞

　さらにカンカンになって突っ込んできた渡辺の腕を掴んで、梨花は一本背負いを豪快に決める。

　最終的に男としてのプライドをひどく傷つけられた渡辺は、我を忘れて獣のように跳び込んできた。梨花はさすがにうんざりしたのかさらりと身をかわすと、送り襟絞めと呼ばれる固め技で相手を完全に落としてしまった。畳に落とした相手の襟を引っ掴んで絞め上げ、本当に送ってしまったのである。

　やりすぎです！ と叫ぶ狭霧の声は、柔道部員たちの悲鳴に掻き消された。梨花はまったく動じず起きろ、と乱暴に相手の身体を揺する。すると渡辺は目を覚ましたが、間近にある梨花の顔を見るなりすぐに気を失ってしまった。

　その顔面にノートを叩きつける梨花に、はたして情けとか、容赦とかいうものはあるのだろうか。

　今回も梨花の圧勝で、またもや保健室の人口が増えていく。