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それでも梨花は違うのだ。彼女は、狭霧に生きてほしいと切望している。そのことに初めて気がついた。
そして、思い知らされた。自分が今まで、どれだけ彼女を心配させてきたのかを。
「今度言ったら投げ飛ばす」
ぶっきらぼうな梨花の物言いに、狭霧は淡く微笑した。
「はい」
生きなければ、と思う。きっと、誰よりも梨花のために。
まずは、明日リンチに遭わない方法を考えよう。
その時、雷のように何かが光った。顔を上げれば、ちょうど公園の外灯がついたところだった。外灯は数回瞬きするように点滅し、それからしっかりとついた。
それを見て、狭霧はとっておきの策を思いつく。
「梨花」
「なんだよ」
「明日を無事に生きるために、少し協力をお願いしたく」
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