生きる意志

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 最後の一秒を待たずして、全員が膝を屈する。意地も、命には代えられまい。 「一!」  バッと梨花が竹刀を振り上げる。それを合図に体育館横の茂みから、眩しい光がいくつも瞬いた。カシャカシャ、という音が、幾重にもこだまする  驚いて顔を上げた三人は、見た。茂みの中に潜んでいた、数人の写真部の生徒たちを。  一瞬遅れて自分たちの土下座シーンを撮られたのだと気づいた彼らは、顎が外れそうなほど口を開ける。 「ばらまかれたくなかったら、金輪際狭霧に手を出すな」  梨花は悪魔みたいな顔で言った。それに意見できるはずもなく、山本、渡辺、小川の三人は、酸欠の金魚のように口をパクつかせる。  ちょっと可哀想になってきた。 「よし、写真部は撤収。協力ありがとな」 「生徒会長の頼みとあらば、いつでも呼んでください」 「おう」  にこやかに、梨花は顔見知りの写真部部長に手を振った。
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