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狭霧はカメラを構える協力者がほしいと昨日梨花に言ったが、まさか彼女が会長権限で写真部を召喚するとは思わなかった。周到なところに凄まじい悪意を感じる。
しかし、この悪魔みたいな作戦を考えたのは自分なんだよな、と少なからず狭霧は凹んだ。いや、梨花が竹刀を持ってきたり地獄送り宣言をしたり写真部を動員したりしていたのは、完全に想定外なのだが。
「行くぞ狭霧。授業に遅れる」
ぽん、と肩を叩かれ、狭霧は我に返った。
「あ、ちょっと待ってください」
梨花にそう言い置いて、狭霧はうなだれている三人の前に片膝をついた。
「おい……」
梨花の声を片手を上げて制し、彼は三人に告げる。
「悪いけど、もう宿題は引き受けられない。ずっと思ってたんだけど、それって君たちのためになってないから」
でも。
「勉強ならいつでも教えるよ」
穏やかに微笑する彼を、三人はどう見たか。
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