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梨花の残虐とも言える笑みを悪魔のようだと評するのなら、狭霧のそれは天使のそれに見えただろう。三人は目を潤ませた。
「ありがとー!」
「心の友!」
「お前いい奴だなぁ!」
それぞれ泣き付いてくる三人に狭霧は微苦笑を浮かべる。理解不能な現象が起きているそのそばで、梨花はふんと鼻を鳴らした。
「お前ってホントわからない」
昼休みの屋上で手すりにもたれながら、梨花は隣にいる狭霧に憤慨していた。
「ボコボコにされたんだぞ」
その薄い胸を踏みにじられて、華奢な身体を嬲られて。今も狭霧の身体は癒えていない。
それなのに。
「どうしてそんな簡単に許せる。怒って然るべきだろうが」
憤懣やる方ないと言った様子の彼女に、狭霧はだってと苦笑する。
「ぼくが怒る前に、梨花が成敗してしまうんですから」
そう言って、狭霧は梨花に笑いかけた。
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