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トモコ
「えっ…」
ドアを開けた外の世界は、それまで存在したはずのショッピングモールとはかけ離れていた。
何もない。
ただ、そこに何かの建物があったような跡が残っていた。
トモコ
「ヒロくん?」
辺りを見回すが、ヒロカズらしき人影は一向に見当たらない。
トモコ
「ヒロくん、ヒロくん!どこにいるの?」
どれだけ叫んでも、ヒロカズはいない。
トモコ
「ヒロくーん!」
すると、上から声が聞こえた。
「おい、まだ誰かいるぞ」
「あれぇ?」
「おい、何でトイレだけ残したんだよ?」
「つい、もよおしたとき便利かな…と思って」
「キャップに怒られても知らねぇぞ」
「ボス子は怒らねぇよ…遅かれ早かれみんな死ぬんだし」
「まあ、それもそうか」
何の会話をしているのか、そもそも人が宙に浮いていることがトモコにはわけが分からなかった。
「とりあえず、行くか」
「だな」
先ほどまで会話していた2人はそのまま空を飛び去ろうとした
さっきまであっけにとられていたトモコは、ようやく今の状況を理解し始めた。
今、上空にいる2人が…
ショッピングモールを消し去ったのだと…。
そして、ヒロカズも消し去ったのだと…
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