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「弓道の服と…着物は違うじゃないですか?」
「違うけど…普段からいろんなときに着物を着てるから、ことちゃんは今日初めて着たってような奴とは違う。あの恰好で車…運転までする人だぞ。」
着物で運転。確かにすごいかも。
「まぁ…そんな話はどうでも良いんだけど…」
成瀬さんは怒りが収まらないらしく、足元にある雑草を何度も踏みつけている。
「今…病院にいる。」
「え?意識とか有ったじゃないですか?怪我とかですか?」
急に不安になって成瀬さんに問いかけると、
「…妊娠していたらしい。課長は…そのこと今日知ったらしいけど、
だけど、流れた…。
そのままにしておくと、次の妊娠にリスクがあるから…って今処置始まったってさっき連絡が入った。」
成瀬さんの一言が…頭の中を駆け巡る。
ショチ…ナガレタ…ニンシン…
愛おしそうにお子さんの映像を見つめていた課長の優しい眼差しを思いだし、
自分のしでかしたことが余りにも大きなことになってしまったことを、
どう受け止めていいか…わからなかった。
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