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「ご紹介預かりました…板谷くんと神林さんと一緒に仕事をさせていただいております長谷部と申します。本日は…ご両家の皆様、おめでとうございます。」 そこで一旦区切った課長は親族の席に向かって一礼していた。 それに合わせて板谷さんと神林さんのご両親が会釈を返す。 「二人と仕事を一緒にさせていただいて、こんなに喜ばしい席に出席できたことに感謝しています。本当におめでとう。」 そう言って今度は板谷さんと神林さんを見つめてお祝いの言葉を伝える。 そして、一瞬だけ…ほんの一瞬だけ…空席の奥さんの席を見つめたかと思ったら、 「板谷くん、裕美さん、ご結婚おめでとうございます。 お二人のお幸せを祝し、両家のご繁栄を祈念いたしまして、乾杯。 」 そう言い切った後で高らかに持っていたグラスを掲げると 「乾杯!」とみんなの声が聞こえ式が和やかに…始まっていた。 課長が席に戻ろうと一歩踏み出した時に、 「優介…飾りじゃねーんだからビール飲め!」って、 一口も口に含まずにいた課長に向かって、 高木さんと武田部長がおかしそうに笑い、 周りの人たちも、それを見ながら笑っていた。 何を言われてもビールを飲もうとせず、 テーブルに戻った瞬間…コーラを飲みだした課長は、 「コレ…やるよ。」って成瀬さんにビールのグラスを押し付けていた。
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