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「板谷くんの所属しております課…と申しますか部内は… 一時期『鬼の巣窟』と呼ばれておりました。 その時のメンバーもここにおりますが…本当に鬼だと思います。 老体に鞭打ってここに立とうとしている私に…励ましてるんだか、突っ込みを入れてるんだかわからないような事を言われて送り出されましたが…」 その時に高木さんが肩を窄めて身を小さくしている。 「3カ月…持たずに辞めていく人間が多い中、板谷くんはその場で自分にしかできない仕事を模索して、今の姿勢を身に着け、仕事に向かう姿は、良く…自分たちの年代が言う『今どきの若いもん』に当てはまることなく、本当に良い人材だと思います。きっと、そんな真摯な一面を新婦の裕美さんは…惚れたんじゃないかと無粋に想像しておりますが、いい意味で、お互いに足りない部分を補い合う良い二人だと思います。そんな二人と一緒に仕事が出来て嬉しく思います。 そしてその人格の基礎は…きっとご両親の深い愛情に育まれ、 ここにいらっしゃるお友達の皆さんに…支えられ、素敵な二人が…こうして出来上がったんだと思います。 そして、こうしたご縁で、広がっていくという幸せな場面に、こうしてお邪魔できることを…幸せに感じております。 板谷くん…裕美さん、本日は本当におめでとうございます。お二人の末永いお幸せをお祈りいたし、私からのお祝いの言葉と替えさせて頂きます 。 」 そう言い切ったかと思うと部長は一礼して席に戻り、 拍手が聞こえたかと思うと司会の人はそのまま進行し、 新婦のお友達の挨拶に切り替わっていた。
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