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「板谷さん…神林さんだったら絶対に大丈夫です。 板谷さんを幸せに出来るのは、彼女しかいません。 そして神林さん… 食べるのが人一倍遅い板谷さんですが、 早食いよりはマシです。 そう思って諦める方が早いです。」 そう言ったら、板谷さんの親族の席でも笑いが起きる。 「夫婦って似てくるんだね…って…前に板谷さんが私に言ってくれましたが…それは…ちょっとあり得ないかな…って思います。あんなに鬼ではないつもりなので…ちょっと心外でしたが…」 そこで課長は一旦止めると、武田部長がこらえきれない笑い声を上げる。 「お二人は…私から見て…とても似ていると思います。 きめ細やかに仕事をする板谷さん。 色んな仕事や人を気遣う細やかな神林さんは、とても良く似ています。 そして、何より…お互いを思いあうその姿勢が…とても二人…良く似ていると思います。 そんな二人が…私は…大好きです。 いつも…二人が幸せに笑っている事を…祈念して、お祝いの言葉と代えさせていただきたいと思います。本日は…本当におめでとうございました。」 そこまで読むと長谷部課長は、少し馬鹿にしたような顔をして、 「このおめでたい席に不在で大変申し訳ありませんでした。」 その一言を追加して、挨拶を終わりにしていた。 成瀬さんは不機嫌な顔をしたまま拍手をして、 席に戻った課長は 「さっ。食うぞ!」って笑って食事を始めていた。
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