プロローグ

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またいつもの夢を見た・・・ 俺が永ちゃんの人生を生きている夢。 朝まだ暗い時間に目が覚め、「永吉」を思って涙ぐむ。 家の中なのに吐く息が白い。 そりゃそうだ。 今は1月半ば。 外には雪が残っている。 それなのに玄関のドアは開けっ放し。 リビングに入る扉も開けてある。 そのリビングに布団を敷き、電気毛布にくるまった俺。 俺は、家族全員が引っ越して、既に誰もいない旧自宅で、毎晩「永吉」の帰りを待っている。 目が覚めて、 「永吉~!永吉~!」 呼んでは耳をすませてみる。 「チャラチャラチャラ♪」 永吉の首輪に付けた鈴の音が聞こえるような気がして・・・ 「シーン・・・」 今日も帰って来なかったな・・・ 「永吉、どこで寝てるんだ?」 「寒くはないかい?」 「飯は食えているのか?」 「寂しくないかい?」 「お前も泣いているんだろう?」 そのまま寝られない俺は、1人支度を整え、野良猫が食ったであろうエサを補充し、氷が張った水を入れ換える。 そして、まだまだ家具や電化製品の残る旧我が家の玄関ドアを開けたまま仕事に出掛ける。 永吉がいつでも帰って来られるように・・・ 泥棒? 盗るなら盗ってけや! .
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