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彼が目の当たりにしたのは白。
見渡す限り。対比物も何もない。彼を不安が襲う。
言いようのない衝動。わかるのは
’ココニハナニモナイ’
’ボクニハナニモナイ’
恐ろしい。怖い。苦しい。辛い。切ない。どうして負の感情だけがわかるのだろう。
ー君は死んだんだー
ハッと我を取り戻す。その声で自身の身体の震えが収まる。
「ここはどこだ!!なぜ声だけなんだ!!出てこい!!」
ー君は死んだんだ 考えつくのは一つしかないだろうー
天国、、、日本には古くから天国、地獄という概念がある。
生きている間に善行が多いものは天国へ。
悪行が多いものは地獄へと。
だがそれ以前の三途の川らしいものは渡った記憶がない。
ー残念だね時間切れだ。最後に後悔はあるかいー
意味が分からない。いきなりこんな白しかない場所に連れてこられて死んだ、だと。
考える事をリセットする。そうしなければ壊れそうだったから。
精神が。脳が。血液が沸騰し凝固する。筋肉のちぎれる音。この世に生まれ生きてきた23年間を否定される感覚。
「もっと、、、、もっと料理したかった!!」
口から出たのは女、長生きなんてものではなかった。
ーわかった その願い叶えようー
白の世界に光が差し込む。
あまりの光量に目眩を覚える。
それに反応するかの如く意識に曇りが生じていく。
意識が彼の主導権から離れたところで物語はスタートしていく。
ー生き延びろ 我が■■■よー
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