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「俊の幼馴染みらしいわね?」
「そう、ですけど……。」
突然とぶつけられる質問にただ頷くことしかできない。
堂々としている奈多良さんの態度に、困惑してしまう。
奈多良さんは、いったい何を言いにきたのだろうか。
「あたし、俊の恋人なのよね。」
「……え?」
ぽかんとして、奈多良さんを見る。
口が空いていて間抜けな顔になっていると思う。
だけど、奈多良さんの言った言葉を理解できなくて、それどころではない。
恋人? 俊くんの?
昨日の俊くんの態度はそういうことだったからなの?
「記憶喪失であなたのこと忘れてるみたいだし、今さら俊に近づかないでくれる?」
「あ、で、でも……っ」
「なに? 俊にはあたしっていう彼女がいるんだから、べたべたされるの嫌なのよね? それぐらい、女の子なんだからわかるわよね?」
わかるわよねって……。
そんなこと言われても。
私には、俊くんに思い出してもらわないといけない理由があるのに?
近づかないでって言われても、じゃあ、どうして俊くんは言わないの?
一緒に帰ってくれたり、寄り道したり、手を繋いだり、ヤキモチ妬いてくれたの?
「そんな、でも、その……。思い出してもらわないなんて、困ります……。」
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