知らない10年間

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  「あたしだって、困るのよ! あなたなんかのこと思い出さなくたって、俊とは上手くやってたのに!」 「……っ」 「俊が好きなのはあたしなのよ! あなたみたいな、昔の覚えてもいない友達に邪魔されたくない!」 私のことを、完全に邪魔扱いする奈多良さん。 そんなこと言われたって。 嫌なものは嫌なの。 思い出さないなんて、そんなの無理。 奈多良さんの彼女であろうと、俊くんには私のことを思い出してほしい。 思い出して、約束のこと聞かなきゃいけない。 それに、私の気持ちだってまだ答えが出ていないんだから。 こんなところで、諦めたくない。 「無理、です。」 「は?」 「近づかないなんて、無理……。俊くんには、私のこと思い出してもらうんたから。」 私の言葉を聞くと、奈多良さんは怒りで顔がどんどんと歪んでいく。 こんなところで、怯えている場合じゃない。 それに、私はこんな言葉に負けるつもりはない。 昔から負けず嫌いで、男の子とだって喧嘩してきたこの私が。 「……邪魔って言ってるのがわからないの?」 「わかるわけない。あなたが俊くんの彼女であろうと、私は俊くんに思い出してもらえるように努力する。」 「そんなの、嫌よっ! あたしが許さないわっ!」 「あなたの許可なんていらない! 俊くんが許可してくれるんだから。それに、あなたは私にとられるのが怖いだけでしょ? そうならないように、努力すればいいだけじゃない。」  
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