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「あたしだって、困るのよ! あなたなんかのこと思い出さなくたって、俊とは上手くやってたのに!」
「……っ」
「俊が好きなのはあたしなのよ! あなたみたいな、昔の覚えてもいない友達に邪魔されたくない!」
私のことを、完全に邪魔扱いする奈多良さん。
そんなこと言われたって。
嫌なものは嫌なの。
思い出さないなんて、そんなの無理。
奈多良さんの彼女であろうと、俊くんには私のことを思い出してほしい。
思い出して、約束のこと聞かなきゃいけない。
それに、私の気持ちだってまだ答えが出ていないんだから。
こんなところで、諦めたくない。
「無理、です。」
「は?」
「近づかないなんて、無理……。俊くんには、私のこと思い出してもらうんたから。」
私の言葉を聞くと、奈多良さんは怒りで顔がどんどんと歪んでいく。
こんなところで、怯えている場合じゃない。
それに、私はこんな言葉に負けるつもりはない。
昔から負けず嫌いで、男の子とだって喧嘩してきたこの私が。
「……邪魔って言ってるのがわからないの?」
「わかるわけない。あなたが俊くんの彼女であろうと、私は俊くんに思い出してもらえるように努力する。」
「そんなの、嫌よっ! あたしが許さないわっ!」
「あなたの許可なんていらない! 俊くんが許可してくれるんだから。それに、あなたは私にとられるのが怖いだけでしょ? そうならないように、努力すればいいだけじゃない。」
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