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カランカラン‥‥ 木製のドアを開け、中に入る。 うす暗くレトロな雰囲気の、いかにもという感じの喫茶店だった。 コーヒーの香りがする。 気がつくと涙は止まっていた。 「ホットコーヒーとレモンティーで。あ、コーヒーの砂糖とミルクたっぷり。」 ウエイトレスはかしこまりました、と店の奥へと消えていった。 「やっぱりコーヒーは甘くないと、ね?」 ちらっとこちらを見ると、すぐに窓の外を眺めだした。 「僕の名前はつなしだ。漢数字の10。十でつなし。まあ覚えなくてもいい。名前なんて、その人の識別番号みたいなもんだからね。」 十、というその男はあご髭を生やし髪は真ん中で分けており肩ぐらいまである。 コートの中はスーツのようだが、なぜかサンダルを履いていた。 「だいぶ落ち着いたね。本題に入ろう。まず結論から言うと‥‥」 うーん、と少しの間考えてから男は言った。 「君は"普通じゃなくなった"」
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