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描いたトラックに十は手のひらをバンッと叩きつけた。
「この瞬間、トラックがぴたりと止まった。スピードが出ていたトラックがピタッとね。」
落書きを手でかき消した。
「僕の見方だと、君にはなんらかのちからがあるのは確かなんだ。
簡潔かつ単純に考えると、"吸収能力"または"無効化能力"ぐらいが有力じゃないのかなー。」
十は頭をボリボリかきながらふうっと息を吐いた。
理解はまったくできていない。
そもそも人間にそんなことはできないはず、いやできない。
しかし凪は話しを聞くだけで精一杯だった。
しばらく沈黙が続いた。
「じゃ、今日はこれまで。」
「き...今日は?」
十は微笑んだ。
「人間ってのは混乱してるときは冷静な判断ができないようにできてるらしいからね。」
ここに来てくれたら、なんでも相談にのるよと言い、凪に紙を渡して、十は店を出ていった。
(十探偵事務所?探偵なんだ‥‥‥)
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