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その一言で大地ははっとした。
神崎はシルエットがまさに踏切で見た女の子そのものだ。
「!」
大地はなにかを思い出したかのように顔を上げた。
(あ、青い......)
青く光っていた。神崎の目。
とても透き通った、美しい青だった。
「やっぱりそっか。あの時の事、誰にも言わないでね。」
「・・・・・」
状況がつかめないまま呆然としていると、神崎が教科書をぐるぐる丸めはじめた。
バシッ!
「返事ぐらいしなさいよ!」
「痛っ!しゃべれないのに返事なんてできるわけないだろ!」
声はでかでかと辺りに響き渡っていた。
はあ、と神崎はため息をつくと丸めた教科書を持って去っていった。
去りぎわの神崎の目はいわゆる普通の黒に戻っていた。
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