いのちの名前

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貴方に贈る 最初の詩だから 私にとって 貴方にとって 優しい音のするような 温かい涙の伝うような そんな愛を紡ぎたかったの 私が作る 最後の詩だから 私にとって 貴方にとって 悲しい香りのするような 冷たい刃の光るような そんな嘘を重ねてしまったけど きっとね 貴方にはもう 私の想いは届かない 私にはもう 貴方の思いは聞こえない 私の創った世界と 貴方の描いた未来とが けして 交じり合うことがないように そっとね 私の詩がこのまま 安らかに眠る 貴方の声がそのまま 静かに落ちる 私たちの愛情も 私たちの哀歓も けして 許されることのないように 私は貴方への詩を 真っ暗な天へと放り投げたの 貴方は私の哀悼を 美味しそうに呑み込んで 飽きもせずに また私に騙されたの  
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