恋する少女

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「また君か……」 葉月君はポリポリ頭をかきながら、私の顔を正面から見つめる ああ、葉月君の瞳に私が映ってる……!! しかもかなりの至近距離……!! それは嬉しいんだけど……終わった…… 絶対変態だと思われてるだろうな…… 奈落の底に突き落とされたような感覚ーー やばい……誰か私を殺してください…… ていうか、また……って? おそるおそる葉月君の顔を見ると、ただこちらを見ているだけで、それ以上何も言ってこない 嗚呼……私の王子様……!! 何故貴方は黙っているのですかーー これはこれでキツイ……拷問? いっそ遠慮なく罵ってください……!! 「「…………」」 しばらくの沈黙が続く 嗚呼あああ………!! 「あああ、あ、あのっ!!またってーーま、前から私の事気付いてたんですか?」 遂に私は何とも気まずい空気に耐えきれず、疑問に感じたことを勢いで尋ねてみた 「君がそこに来るようになった初日から気付いてたよ」 サラリと葉月君が答え、本を閉じる 更に血の気が引いていくのがわかった なっ、何てことだ……っ!! バリバリにやけながら見てたぞっ 「……で?僕に何の用?」 葉月君はスッと目を細める その目にドキッとする 「いや、用事とかでなくっ、ええっと……!! 今の表情、格好いいですっ!!」 あ、言っちゃった!! 私は慌てて両手で口を塞いだ その時、口にまだヨダレをつけたままにしていたことに気づいて更に落ち込む しかし既に遅く、葉月君は驚いた顔をしている や、ヤバい……完全にひかれた…… バイバイ……王子様の妻となる私の夢…… そう思ったが、予想していなかった言葉が葉月君から返ってきた
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