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少年はそっと話しかけてくる
「ーー君には」
優しく語る瞳ーー
妖しく弧を描く唇ーー
「ーー何か望みがあるんだろう?」
少年は標的にした獲物が戸惑う姿に、眼光を鋭くする
「ーー僕にはもうわかっているよ」
それは真っ暗な深い深いーー闇の中の出来事ーー
「君は人を殺したい……そうだよね?」
甘い甘いーーフワリフワリとした口調で
「ーー僕が叶えてあげる」
そう、静かにささやくのだーー
獲物の頬につたう雫は流れ、地面に溶けていくーー
とまることなく、闇に混じり合っていくーー
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