6人が本棚に入れています
本棚に追加
「あれは何?」
葉月君は彩乃の言葉を聞いていなかったかのように、
周囲の客とメイドのやり取りをぼんやりと見ながら言った
「萌の萌え萌え、ちゅ・う・にゅ・う、だにゃ」
目線の先では、語尾にハートが付きそうな声で、メイドが客の飲み物に可愛らしい動作をしている
「あれは飲み物を更に美味しく、楽しんでいただくための魔法なんですよ」
彩乃はニッコリと微笑みながらも、
さっきの話の返事をもらえなかった落胆の色が隠しきれていない
「ふうん……。
僕もやって欲しい気がするけど、いいや。帰ってから自分で試してみるよ」
「「え?」」
葉月君が何食わぬ顔で発した言葉の意外さに、私と彩乃の声が重なる
い、今なんと……!?
そんな二人をよそに、葉月君はさっさとカプチーノと、白く濁ったコーヒーを飲み干した
気持ち的に味が良くなるという意味だろうが、
葉月君はちゃんとわかっているのか、全く彼が考えている事がわからない
「ごちそうさま」
それだけ言うと、葉月君はテキパキとした動作でレジにお金を払い、店を後にした
彩乃は呆然として、葉月君を目で見送っている
最初のコメントを投稿しよう!