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「ちょっと!!」
私は不満な気持ちで追いかけ、葉月君の横についた
「何よ、あれ!!
自分でやる……?じゃないや、何より……も……」
私の興奮気味の声がだんだん小さくなっていく
本人は無意識で言ったのだろうが、メイドへの思わせぶりな台詞に腹が立った
だが葉月君は私の恋人ではない
誰にどんな事を言おうと、怒るのはおかしい
でも……
「君は馬鹿なの? いや、馬鹿か」
葉月君は顔を前に向け、歩きながら呆れたような表情をする
馬鹿って何よ!!
あの後だけに、本当に苛々としてしまう
「君にも見えたはずだよ、男の霊が」
「あ……」
すっかり忘れていた
いかに自分が葉月君の言葉に気を取られていたことがわかる
「じゃあ恋人がいるかどうかきいたのは……」
「その恋人の身に何か起きる可能性が出てくるうえに、憑いている幽霊が成仏しにくくなるからだ」
葉月君の言葉に安堵して、体の力が一気に抜けるのを感じた
そんな私の様子に、葉月君は不思議そうな顔を向ける
結構わかりやすく猛アピールしてたのに……葉月君てば、鈍感?
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