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「僕ら案内人はね、霊を成仏させるのに手段は選ばないんだよ」
葉月君は私に鋭い視線を向けながら、いつもより低い声で静かに言った
「仮にだよ。
人を殺したいくらい恨んで、
この世に留まっている霊がいたとする。
僕ら案内人はその霊を成仏させるために何をすると思う?」
ーー僕ら案内人は手段を選ばない
彼は確かにそう言った
私の胸に、嫌な予感がよぎる
二人の間に冷たい風が吹き抜け、鳥肌が立った
葉月君は鋭い眼とは裏腹に、淡々とした感情のない声で言葉を続けた
「ーー殺すんだよ。その霊に恨まれている対象の人間をね」
途端、私は頭を鈍器で殴られたような感覚に襲われた
衝撃で視界がゆらゆらと揺れる
殺すーー
その言葉だけが頭の中でこだました
じゃあ葉月君は……人を殺した事があるの?
真っ先に脳裏に浮かんだその問いを、聞けるはずがなかった
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