二人の葉月

3/4
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
葉月君の様子が不自然なのだ 対応しきれずに、困ってしまって苦笑いをしている 葉月君なら質問にも一切答えずに無視を決め込む それか、適当にあしらいそうなものだ だが、今の葉月君はまるで別人だ そして授業を一つ挟んだ休み時間 葉月君は私に目で合図すると素早く教室を出た 来い、ということだろうか 葉月君は誰もいない階段まで歩くと、クルリと振り返った するとーー 「あ、あの、あなたが安曇……さんですよね?」 私の顔を上目使いで見ながら、葉月君は挙動不審気味な声を出した 声の調子もやや高い気がする 「えっ、えっ!?」 に、二重人格!? どっかで頭打った!? 本当に葉月君!? 葉月君のあまりの変わりように、私は頭を混乱させる でもそれは次の言葉で解決する 「あ、驚かせてごめんなさい……。僕は水浦如月と申します。 葉月は僕の双子の兄にあたります」 葉月君……と思っていた人物は、葉月君の双子の弟ーー如月君だった 如月君は申し訳なさそうに眉を下げている
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!